2022年10月3日月曜日

事業報告(11) 乳幼児期の絵本   

  9月21日(水)花畑ふれあい広場「乳幼児期に出会いたい絵本」
 ふれあい広場は、今回4回目になります。回を重ねるごとに参加される親子も増えており15組27人の参加者がありました。講師の先生は、子どもの本専門店「エルマー」代表の前園 敦子先生です。花畑公民館では前園先生に約20回くらい来て頂いており、毎年楽しい絵本の読み聞かせや紹介をしていただいております。
 初めて見る者にとっては、0歳から2歳前後の幼児にどのように読み聞かせをされるのだろうと、少し不安感を持ちながらの参加でしたが、絵本の持つ力と前園先生の語りの素晴らしさにすっかり引き込まれてしまいました。
 先生の子どもに接する姿勢は、基本的に自由:子どもの主体性(例え0歳児でも)を大切にされ、子どもが絵本に反応して先生の所によって来ても、決して制することなく、興味を持っていること自体を褒めておられました。お母さんたちが子どもを制しようとしても「いいよいいよそのままにしたあげて下さい」と。
 先生は子どもが絵本と接することで2つのことを身に着けることができると言われました。一つは「愛着心」が育つこと。もう一つは「語彙数」が増えること。
 愛着心の話しの中で先生は、精神科医:佐々木正美さんの「はじまりは愛着心」という本を紹介され、母親から愛されることで子どもは「根拠のない自信」が身につき、人を信じ、自分を信じることができるようになる。つまり、自己肯定感が育ち自立していくと言われました。お母さん方には各家庭の子育ての必読書として、ぜひ読んでほしいと付け加えられました。
ぱくぱく,しゃかしゃか
 二つ目の語彙数ですが、人は言葉を身に着けることによって思考し考えを深めることが出来ます。また、語彙数が豊富になるということは周りの様子や人の思いを感じる心:感性が育つことにもつながります。特に日本語のオノマトペ(擬音語、擬態語)は、世界に類を見ないほど豊富な言葉数があるそうです。子どもたちは繰り返されるオノマトペが大好きです。言葉を覚える入門として、絵本で色々なオノマトペに触れてほしいと言われました。

 この他にも、色の話しや動物の話し、お買い物などたくさんの本を紹介して下さいました。泣き出す子など一人もおらず、0歳児の子も微笑みいっぱいで、とても和やかな雰囲気の読み聞かせ会でした。見事な前園先生マジックです。


 最後に、前園先生がおしゃっていました。
 「母親が喜んでいる(楽しんでいる)様子は子どもに必ず伝わります。絵本を通して親子で一緒に楽しんでください。」
 公民館では、11月5日(土)6日(日)の二日間、昨年に引き続き「絵本カーニバル」を実施いたします。ぜひ、皆さんも足を運んでいただき、子どもさんと一緒に絵本の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

 今回の読み聞かせで先生が読まれた本を以下にご紹介いたします。

●「もりのおふろ」 西村敏雄著 福音館書店
   ライオン、ゾウ、ウサギ…たくさんの動物が森のおふろにやってきた。
   みんなで輪になり背中を流し、おふろにドボーン!ゆっくりお湯に
   つかって、極楽極楽、いい気持ち!相手のことを大切に思う気持ちを
   この絵本を通して自然に感じ取れる。

●「ぱくぱく しゃかしゃか」山岡ひかる著 ひかりのくに
   言葉が出始めた0.1.2歳児に最適。楽しい言葉と遊びの絵本
   絵柄はやさしい切絵の風合いで、心地よいオノマトペも味わえる。
   オノマトペの言葉のリズムを楽しみながら、食事や歯磨きなどの
   身近な生活習慣を身につけられる。

●「6つの色」とうだこうしろう著 戸田デザイン研究室
   一匹のヘビが、赤・青・黄の3原色を飲み込むと…
   お腹から6つの色が次々と出てくる。
   ヘビと6つの色が織りなす心温まるお話と共に、色の美しさ・楽しさ
   不思議さが伝わってくる。子どもたちが楽しみながら色の世界に
   触れ、豊かな感覚を育てるきっかけとなる絵本。

●「まねっこ おかお」 たかてらかよ著 ひかりのくに
   1歳ごろには手指の巧緻性が発達し、ブタさんやネコさんの
   真似が楽しくなる。模倣は成長を助ける。

●「いらっしゃい」 せなけいこ著 童心社
   いろいろなお店に、いろいろあるよ。「どれがいい?」と語り
   かけると、子どもが思わず絵本に手を伸ばす。一つ一つの物に
   表情がある。「いらっしゃい」「まいどあり!」という元気な
   繰り返しの言葉も楽しく、とても力を持っている絵本。

●「おんぷちゃん と たいこ」 とよたかずひこ著 ひさかたチャイルズ
   繰り返しの音の響きやオノマトペが楽しい。つぎつぎに登場する
   動物たちは愛らしく、ユーモアあふれる表情に心ほっこり。楽しい
   結末に小さな読者の心は満たされ絵本の楽しさが伝わる。

●「いつかは ぼくも」 よしだるみ著 国土社
   「ぼくのおとうさん すごいんだよ」おとうさんのすごいところを
   教えてくれる。

●「わたしは いつも」 よしだるみ著 国土社
   「わたしの おかあさん いつも いっしょなの」おかあさんの
   すてきなところをおしえてくれる。

●「いつも となりで」 よしだるみ著 国土社
   「あるひ なかまが できた」
   ともだちやきょうだいのだいすきなところをおしえてくれる。

●「ぴーぴーバックしまーす」 片山健著 福音館書店
   自分に置き換えながら遊びに発展させていく。本から飛び出して
   疑似体験➡遊びにつなげる。

●「りんごりんごりんご」 安西水丸著 主婦の友社
   シンプルな緑の大地に、これまた微妙な表情の顔がついている
   真っ赤なりんごが横断していく。この点と線だけの顔がちょっと
   動くだけでりんごの気持ちが伝わってくるようなのが本当に面白い。
   子どもはどんな思いで楽しんでいるか分からないが、しっかり見て
   くれる。

●「はじまりは 愛着から」 佐々木正美著 福音館書店の単行本
   人を信じ、自分を信じる子どもに
   児童精神科医として半世紀以上も臨床に携わり、
   子どもを見守る上で、不安なこと、どうしたらいいか分からない
   こと、そんな時の対応のヒントがギュッと詰まった一冊。
   子育て中のママのための応援ブック。