2022年11月25日金曜日

事業報告 23  よりあい塾「心の学習会」

  今回のよりあい塾(11月24日)は「心の学習会」と題して、人権についての学習会を行いました。23日の夜はW杯の日本対ドイツ戦の放送を見た方も多かったようで、ちょっと寝不足気味?かなとも思われましたが、19名の元気な皆さんに参加していただけました。

 今回のテーマは、9月の「サークル人権学習会」で実施した内容と同じで、ヤングケアラーについて学びました。講師も9月と同じ南区総務部生涯学習推進課 人権学習指導員の高田 幸平先生にお願いしました。基本的な内容は前回と変わりませんが、前回ブログ(9/5投稿)でご紹介した内容に加えて新たな資料も準備していただきましたので、今回はそれについてご紹介いたします。

 福岡市では、人権学習の大きな課題として8つを中心に取り組みを進めています。        1 同和問題                                2 女性に関する問題                  3 子どもに関する問題             4 高齢者に関する問題            5 障がい者に関する問題          6 外国人に関する問題           7 HIV感染者等に関する問題       8 その他の人権問題

となっています。ところが、社会情勢の変化で色々な問題が出てきているため、8番目に「その他」として色々な課題に対応することにしています。今、新たな問題として取りあげられていることに、SNSでの誹謗中傷や、LGBTQ(性の多様性)・ホームレス・アイヌの人々・犯罪被害者等への偏見や差別、また、北朝鮮当局による人権侵害問題などがあります。           

 今回のヤングケアラーも、子ども関する問題(いじめ、虐待、不登校等)として捉えてもいいのですが、家庭だけの問題とせず、学校や地域の関わりも必要性があるということで新たな課題として挙げられています。

【子どもの権利について】                              1990年の第44回国連総会で子どもの基本的人権を国際的に保障するため「子どもの権利条約」が採択されました。日本も1944年に批准しています。これは、18歳未満の児童(子ども)も権利を持つ主体と位置づけ、大人と同様、ひとりの人間としての人権を認めるとともに、成長の過程で特別な保護や配慮が必要な子どもならではの権利も定められています。子どもの生存、発達、保護、参加など包括的な権利を実現・確保するために必要となる具体的な事項を規定しています。  

 「4つの権利」                                     ①生きる権利(住む所や食物があり、医療を受けられる等、命が守られること)           ②育つ権利(勉強したり遊んだりして、自分の能力を十分に伸ばしながら成長できること)          ③守られる権利(紛争に巻き込まれず、暴力や搾取、有害な労働から守られること)           ④参加する権利(自由に意見を表したり、団体を作ったりできること)

 これらのことを踏まえて、ヤングケアラーの状況を観てみると

 一昔前は、子どもも家庭の労働力として考えられていたり、家族の困っている状況を手伝うのは当たり前だと思われていました。また、家庭内の問題だから周囲の人に言ってもしょうがない。そして、それぞれの家庭の問題だから周囲がとやかく言うべきではないという考え方もありました。
 しかし、子どもの権利を守らなければならないという視点から見てみると、本来大人が担うとされているケアを子どもが日常的に行っており、上記の権利が守られていない状況が増加傾向にあり問題となっています。(中学生5.7%、高校生4.1%:R2厚労省調査)

 学校生活の影響として、遅刻が多い、授業に集中できない、忘れ物・宿題忘れが多い、友人関係が作れない、部活が出来ない、休みがちなどの傾向があるようです。子どもたち自身も、○自分の時間がない ○勉強する時間がない ○相談する人がいない ○ストレスを感じる ○友人と遊べない ○睡眠がとれない 等色々な負担を感じているのが実態のようです。
【必要とされる取組】
 高田先生は、最後のまとめで次の点を指摘されました。                ○発見・把握と支援は、セットとして考えていかなければならない。            ○子どものケアを止めさせるのではなく、ケアの時間を減らす支援を進める。       ○ヤングケアラーの認知および相談できることの周知をすすめる。             


【振り返りの感想】


 皆さん「ヤングケアラー」について新しい知識を得て、自分の体験や周囲の環境を振り返って、自分事として考え、楽しい雰囲気の中で意見を交流していただきました。ご覧のように児童憲章(学校現場では職員室や図書室に掲示してあることがあります)について話された方もおられました。今一度、私たちの身の回りで児童の権利が本当に保障されているのか?振り返ってみることが必要かもしれませんね。

 最後に、高田先生が人権教育を進めていくうえでのコツを教えていただきました。そして「は・な・は・た」の4文字を使って、よりあい塾の皆さんにプレゼントをしていただきました。いつも、花畑校区のことを温かく見守っていただき有難うございます。

END